ウィルだよ!

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2018年8月15日水曜日

動物病院リテラシー?

皆さんは、どうやって動物病院を選んでいますか。
近いから。
やさしい先生がいるから。
専門性のある先生がいるから。
たくさん先生がいて、年中やっているから。
高級そうな検査機器が揃っていて、安心だから。

いろいろな理由があると思います。

私は、動物病院を選ぶ際に、いちばん大事なことは、「目が覚めていること」だと思います。
どういうことかというと、本当にその動物病院が、自分たちの家族に合っているかということに気付いているかどうか、ということです。

動物病院側からみても、患者さんたちの、動物病院リテラシー(動物病院を選び、活用する能力。と勝手に思いついた言葉)は様々です。
リテラシーの高い方々は、「いざとなったときはこの病院」「夜間に何かあったときはこの病院」「いつもの健康管理はこの病院」と、病院を上手に使い分けています。
ポイントは、自分たちの動物が飲んでいるお薬や受けている検査などについて、しっかりと理解していること。それぞれの病院で言われることが多少違っても、総合的に判断し、どこを自分たちの家族の基準にするのか自分たちで決めているということです。

そういう意味では、ウィルどうぶつクリニックに来てくださる方々は、「ちょっと変わった」方が多いかもしれません(失礼。笑)
動物病院なんていくらでもある地域で、うちみたいな小さな病院にかかろうと(しかも鍼灸治療を受けてみようと)思われる方ですから。笑

でもその中で、鍼灸を受けていても受けていなくても、元気でも病気があっても、若くてもお年寄りでも、どんな状態でも飼い主さんとおうちの子たちが良い関係で、できるだけ楽しく暮らしてほしいという想いを受け取ってくださる方が増えてきたなぁと感じていますし、それが私の一番やりたいことなので、とても嬉しいことです。

逆に、こちらにないものを強引に求めてくる方もいらっしゃいます。
診療時間外に、病院のドアをガンガン鳴らして「なんで空いてないのよ!!」という方。(いやぁ24時間は無理っすよ・・・)
どうしてもすぐには診られない、とご説明すると激高して「じゃあどうしろっていうの!!」という方。(他にも緊急対応が得意な病院さんはありますから・・・そして、たいてい急を要する状態ではない・・・)
こちらが何度もうちのシステムをご説明しても、こういう方はいなくなりません。
ただ、それは仕方のないことだと思っています。

私たちにはできないこともたくさんありますが、できることもあります。
それをご理解いただいた上で、ご利用いただきたいと思っています。
自分たちにできる分の精一杯で、動物たちの診療に当たりたいと思っていますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。


鍼灸って、知らないとなんだか胡散臭い、おまじないみたいな風に聞こえますよね。

そんなん効くの?って正直思っている獣医さんも、たくさんいると思います。
鍼灸治療を行って、皆さんそれぞれ良い変化が出たり、一般的に言うところの「治った」状態になったりしても、それを口でお伝えするのは難しい。
私から、「こんな状態の子がこんなに良くなったんです!」と言っても、自慢だったり、たまたまでしょうととられるかもしれません。

でも、確かに、鍼灸をして、良い状態を維持したり、お薬を減らせたり、穏やかに過ごせたり、そんな子たちがたくさんいるんです。
一番は、体験した方のお話を載せさせていただくのがわかりやすいかもしれませんが、私は実際に来ていただき、一緒に体験していただくのがやはり良いと思っています。

最近も、鍼灸治療を継続して行っていた子たちが相次いで虹の橋を渡っていきました。
余命がもう少し、という子たちは、鍼灸治療で、何かを治せるわけではありません。
それでも、呼吸が楽になったり、体の熱がすっと下がったようになったり、目の輝きが戻ったり、そういう小さな良い変化が起こるんです。
でもそれが、頑張っている子たちや、頑張って一緒に闘病している飼い主さんたちにとっては、大きな変化なんですよね。

そして、皆さん命の最期に向けて、心の準備をして臨み、全うさせてあげられた、と感じてくださることが多いと感じます。

鍼灸治療で、「この病気、私が治しました!」とか「私にしか治せません!」とおっしゃる先生もいるそうです。驚きです。
でも、鍼灸(中医学)って、本当は、主体は治療する我々ではなく、患者さんたちなんです。私たちがいくらお手伝いしても、生きよう、良くなろうとする意志がなければこちらが期待するような変化は見られません。
また動物の場合、動物の健康管理をするのは飼い主さんです。
後ろ脚が弱ってきた患者さんに鍼灸治療をしても、その後に飼い主さんがちっとも散歩に連れ出さない(リハビリをしない)、足腰の負担になっている重い体重を減らしましょうと言ってもカロリーの高いおやつばかりあげていてはどうでしょうか。良くなるものも良くなりません。
鍼灸はおまじないでも魔法でもない、その子の治ろう、良くなろうとする力を引き出す、お手伝いする治療法なのです。


毎回、治療させていただく子たちの命の全うの仕方は違いますが、どの子たちからも、いろんなことを教えてくれます。だから、みんな、ありがとう。という気持ちを忘れないようにしていきたいです。
そして、飼い主さんにも、最期は笑って、胸を張って見送ってほしいと思います。そのために、飼い主さんにも元気になってクリニックから帰ってほしい。
中医学で、「心身一如」という言葉があります。
心の元気がなくなれば身体の元気もなくなり、病になる。その逆もしかり。
それと同じで、飼い主さんと患者さんの状態もリンクすることがよくあります。
ですから、飼い主さんも、まずは自分が元気でいてください。それをおうちの子たちも望んでいると思います。

これを読んでくれている方やお家のどうぶつたちが幸せに暮らせますように。
亡くなった子たちの魂が安らかでありますように。